医療法人が「持分あり」から「持分なし」に移行した場合の課税
[令和7年4月1日現在法令等]
Q. 質問
持分の定めのある医療法人が、持分の定めのない法人に移行するにあたり、出資者は出資持分を放棄することになりますが、法人側では税法上どのように取り扱われますか。
A. 回答
持分の定めのある医療法人が持分の定めのない法人に移行するには次の2とおりの方法があります。
1つは定款変更認可手続きを経て定款を変更するだけで移行する方法です。医療法施行規則第30条の39には、社団である医療法人で持分の定めのあるものは、定款を変更して、社団である医療法人で持分の定めのないものに移行することができると規定されています。この方法で出資者全員が持分を放棄した時は、持分の定めのない法人を個人とみなして相続税法第66条第4項の適用を受けて贈与税が課されることがあります。
もう1つの方法は、認定医療法人の認定を受けて持分の定めのない法人に移行するやり方です。
一定の要件を満たせば、法人に対する贈与税課税は行われません。
認定医療法人の認定を受けるための要件は医療法附則第10条の3に定められています。
1.総会の議決があること、2.移行計画が有効かつ適正であること、3.移行計画期間は5年以内であること、4.認定医療法人の運営に関する要件(8つ)を全て満たしていることの4つの要件を満たす必要があります。
そして認定を受けて持分なしの法人に移行した後6年間上記の要件のうちの4運営に関する8つの要件をクリアし続けるという条件付きで、贈与税課税は免除されます。
8つの要件は医療法施行規則附則第57条の2第1項に示されています。
1.法人関係者に対し、特別の利益を与えないこと
2.役員に対する報酬等が不当に高額にならないよう支給基準を定めていること
3.株式会社その他の営利事業を営む者等に対し、寄附その他の特別の利益を与える行為を行わないこと
4.有休財産額は事業にかかる費用の額を超えないこと
5.法令に違反する事実、帳簿書類の隠ぺい等の事実その他公益に反する事実がないこと
6.社会保険診療報酬等(介護収入、助産に係る収入、予防接種委託事業収入を含む)に係る収入金額が全収入金額の80%を超えること
7.自費患者に対し請求する金額が、社会保険診療報酬と同一の基準によること
8.医業収入が医業費用の150%以内であること
なお、放棄により法人が受けた経済的利益については法人税の課税はありません。
法人税施行令第136条の3には、当該経済的利益は益金に算入しないとされています(利益積立金として処理することになります)。
参考条文等
医療法施行規則第30条の39 相続税法第66条第4項 法人税施行令第136条の3 医療法附則第10条の3 医療法施行規則附則第57条の2第1項
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