相談事例Q&A

遺留分侵害額請求に対して土地を渡した場合の課税関係

[令和7年4月1日現在法令等]

Q. 質問

 父の相続(本年1月5日死亡)により、父の遺産は下記のように長男が遺言によりすべて相続し、本年11月に相続税の申告納付が終わりました。
 ところが、本年12月に長女から長男に、2,000万円の遺留分侵害額請求がされました。
その後、長男・長女の話し合いにより、長男が相続した時価2,000万円(相続税評価額1,600万円)のA土地を長女に渡すことで決着がつきましたが、長女に土地を渡すと長男に所得税がかかると聞きました。本当でしょうか。
 また、他に注意することはありますか。
 ※土地の時価および相続税評価額は相続開始時と同額です。

A. 回答

 長女に渡したA土地は、2,000万円で譲渡したものとして、長男に所得税・住民税の課税がされます。
 平成30年の民法改正により、遺留分制度による「遺留分減殺請求」は、「遺留分侵害額の請求」として金銭債権化されました。その結果、遺留分を侵害された者は、遺贈等の目的財産の所有権または共有持分権を主張できなくなり、遺留分侵害額に相当する金銭の支払い請求のみできることになりました(令和元年7月1日施行)。
 しかし、現実的には当事者の合意で金銭に換えて他の財産を給付することもあります。金銭に換え他の財産を給付した場合は、代物弁済として取り扱われます。そして、代物弁済により移転する財産が譲渡所得の基因となる資産であるときは、その移転があった時に代物弁済により消滅する債務の額によりその資産を譲渡したことになります。
 つまり、長男はA土地を2,000万円で長女に譲渡したものとして、所得税・住民税が課されるということです。
 なお、長女は2,000万円でA土地を取得したことになり、代物弁済による土地の取得ため不動産取得税の課税対象となります。
 また、長男は遺留分侵害額の請求に基づき支払うべき金銭の額が確定したときから、4ヶ月以内に相続税の更正の請求をし、相続税の還付を受けることができます。長女は、相続税の期限後申告書を提出し、相続税を納付することになります。
 ちなみに、民法改正前は、遺留分に基づきA土地を渡しても所得税・住民税が課税されることはありませんでした。

参考条文等

民法 第1046条                                                               所得税法 第33条                                                              所得税基本通達 33-1の6                                                          


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