反面調査と税務代理権限証書
[令和7年4月1日現在法令等]
Q. 質問
私(税理士)は、個人事業主Aから依頼を受けて、所得税確定申告書の作成をしました。この度、Aと取引関係のある法人に税務調査があったことに関連して、反面調査の依頼がありました。しかし、Aは、できれば反面調査には応じたくない旨希望しています。この場合、法令上、反面調査を拒否することはできるでしょうか。なお、Aの所得税申告書の作成については、顧問契約等がないため税務代理権限証書の提出はしていません。
A. 回答
反面調査を拒否した場合は、法令上罰則が科されます。また、税務代理権限証書の提出がない場合は、原則的には調査立合をすることはできません。税務調査官は、「法人に対し金銭の支払や物品の譲渡をする義務がある者又は金銭の支払や物品の譲渡を受ける権利がある者」に対して必要があるときは質問検査権を行使することが認められています。つまり、税務調査官による質問検査権の行使として、反面調査をすることは法律上認められているのです。加えて、その反面調査を拒んだ場合は、罰則の対象となります。税理士の調査立合についてですが、税理士法で定める税務代理の範囲として、税務官公署の調査や処分に対してする主張陳述につき代理代行することが含まれいます。また、税理士法では税理士が税務代理をする場合は、税務代理権限証書を提出しなければならないと規定されています。したがいまして、調査立合に際しては、税務代理権限証書の提出が必要となります。ただ、この税務代理権限証書の提出については、必ずしも申告書の提出時に合わせて提出する必要はなく、事後提出でも問題はありません。なお、反面調査については事前通知を要する税務調査ではありませんので、ご留意ください。
参考条文等
国税通則法 第74条の2第1項、第128条 税理士法 第2条第1項第1号、第30条、第34条
税務相談室