相談事例Q&A

特別縁故者が財産の分与を受けた場合の課税関係

[令和7年4月1日現在法令等]

Q. 質問

 甲は令和5年3月死亡しましたが、甲に相続人はいません。甲の身の回りの世話をしていた乙は令和7年11月に家庭裁判所から、「特別縁故者の相続財産の分与」の申立てが認められ、遺産の一部としての土地(令和5年の相続税評価5,500万円、令和7年の相続税評価6,000万円)を取得しましたが、相続税の申告は必要でしょうか。また、当該土地を将来譲渡した場合の当該土地の取得価額はどのように計算するのでしょうか。

A. 回答

 乙が特別縁故者として遺産の一部としての財産の分与を受けた時には、その財産は遺贈により取得したものとみなして相続税が課税されることになります。この場合、相続税の課税財産の価額は、死亡時の価額ではなく財産分与を受けた時の価額となります。但し、相続税の基礎控除・税額計算等は相続開始日の法令により計算されることになります。分与財産6,000万円から基礎控除3,000万円(相続人がいないため)を控除した金額に相続税が課税され、かつ、特別縁故者は被相続人の一親等の血族等に該当しないため相続税額の2割に相当する金額が加算されることになります。なお、相続税の申告手続き期限は、「財産分与があったことを知った日」の翌日から10カ月以内となります。「相続」により取得した財産については、被相続人の取得価額・取得日を引き継ぐことになりますが、「分与」として取得した財産については、所得税法では「遺産により取得したとみなす」規定がないため、将来当該土地を譲渡した場合には、その時(分与時)の価額(通常の取引価額)で取得したものとして譲渡所得を計算することになります。

参考条文等

相続税法 第4条、15条、18条、27条、29条                                                                 所得税法 第60条                                                                                       民法 第958条の2


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