遺産の換価分割の場合の譲渡所得の課税関係
[平成27年4月1日現在法令等]
Q. 質問
父は借地に住宅を建てて長年暮らしていましたが、亡くなったので、当住宅の取壊しを条件に地主に買い取ってもらうことになりました。相続人皆で相談の上「換価分割」の手続をとることにしました。この場合の課税関係はどうなりますか。
A. 回答
遺産の分割の方法は、「現物分割」、「代償分割」と「換価分割」があります。「現物分割」は、相続財産を単独あるいは共有で所有する場合の分割方法であり、「代償分割」は、相続財産が容易に換価できないか特定の相続人がその財産を継続保有することを望む場合に、その財産を取得する者が、他の相続人が取得すべき財産価額の不足分を自らの固有の財産から弁償する分割方法です。「換価分割」は、現物分割しないで当財産を譲渡し、その代金を相続人間で分配する分割方法です。今回の「換価分割」の効果として、各相続人が、譲渡した相続財産を取り決めた代金配分の割合で取得したことになります。したがって、その財産が譲渡所得の基因となる資産であるときには、未分割であった財産を代金配分の割合により「分割・譲渡」したものとして、各相続人が譲渡所得の申告を行うことになります。相続財産をいずれの分割方法により分割したかは「遺産分割協議書」に明確に表示し、他の税目(贈与税等)の課税関係が生じないよう留意する必要があります。
参考条文等
所得税法 第12条 第33条 相続税法基本通達 19の2-8 民法 第906条~第909条
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