賃貸用建物の取壊し費用
[令和7年4月1日現在法令等]
Q. 質問
個人でアパート経営を行っておりましたが、建物の老朽化が進行したため、入居者の賃貸借契約が満了する都度、退去依頼をしておりました。本年中にすべての入居者の退去が完了したため、速やかに賃貸用建物の取壊しを行いました。この賃貸用建物の未償却残高(帳簿価額)及び取壊し費用は、不動産所得の計算上、必要経費として認められるでしょうか。
A. 回答
ご質問の場合、上記の賃貸用建物の未償却残高(帳簿価額)については、規模要件(下記1.参照)がありますので、未償却残高のうち一定の金額が必要経費に算入されることになります。また、取壊し費用については、下記2.(1)に該当するため、その全額が必要経費に算入されることになります。
1.資産損失の取扱い
所得税法では、事業(業務)に使用していた固定資産を取壊した際などに生じる未償却残高に相当する損失を、資産損失といいます。
資産損失については、不動産貸付等の規模が「事業的規模」の場合には、未償却残高の全額が必要経費に算入されますが、「事業的規模以外(業務的規模)」の場合は、不動産所得がマイナスにならない範囲で必要経費に算入されます。つまり、資産損失が不動産所得の金額を超過する場合には、その超過部分については必要経費への算入が認められず、切り捨てとされます。
なお、規模要件は5棟10室基準により判断することとされています。不動産の貸付けが事業に該当するかどうかは、本来、その実態に即して判断されるべきものですが、建物の貸付けについてはその目安として、①貸間やアパート等において貸与可能な独立した室数がおおむね10室以上である場合、または②独立家屋の貸付けがおおむね5棟以上である場合には、事業として取扱われます。
2.取壊し費用の取扱い
(1) 業務用資産の取壊し費用(譲渡目的以外)
取壊した建物が業務に供されていたものである場合において、その取壊しが業務終了後、速やかに行われるなど、業務の残務処理的な行為(業務精算)と認められる場合には、その取壊し後の敷地の利用目的にかかわらず、その取壊し費用は必要経費に該当することとされています。
ただし、貸付業務等を廃止した後、長期間にわたって建物を放置した場合や、短期間であっても本人が使用したり、親族等に無償で居住させたりした場合には、その期間中、その建物は家事用に転用されていたものとみなされます。この場合の取壊し費用は必要経費に算入できないものと考えられます。
(2) 非業務用資産の取壊し費用(譲渡目的以外)
非業務用資産を取壊した場合は、たとえその取壊しの目的が業務の開始であっても、精算基準を踏まえれば自宅の片付けと同様と考えられます。したがって、この場合の取壊し費用は必要経費には算入されません。さらに、この場合の取壊し費用は、新たに建築される建物等の取得価額に算入することも認められないものとされています。
参考条文等
所得税法第37条、第51条 所得税法施行令第126条
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